2009年06月21日

築地土曜会は7月4日

築地土曜会を7月4日に行います。
場内を回る店員は自由枠以外は満杯となりましてが、懇談会のみの参加は募集中です。
今回から、参加者にはぼうずコンニャクバッジをお配りします。
また場内のお魚の試食、お土産つきです。
興味のある方、質問などは。
掲示板に参加してください。
http://csi.or.tv/tsukiji/kb/rb.cgi
詳しいことは
http://csi.or.tv/tsukiji/doyoukai.html
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松江で普段着のお昼『かまや』の半チャンラーメン

 島根県のアドバイザーをやっていて、思いのほかありがたいことがあって、それは市内の普段着の飯が食べられることだろう。
 なかなか悪くない県庁食堂、通りすがりの旅人が入店を躊躇するような洋食店、そして肩肘どころか、どこにも装飾めいたもののない油でべとつく中華料理店などなど。
 県の職員の方も、そんなにいいもん食べていないな、なんてことも思うし、意外にこんな庶民的で普通の暮らしぶりから、公務員も人の子だな、なんてあらぬ方に想像巡らせたりする。

 さて、正午前、一仕事終えて、次の会議までのひととき。
 そろそろお昼だな、というときにボクが見つけたのが『かまや』。
 「ここにしましょう」、というと「『かまや』かーー」という声がもれた。

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 それもそのはずで店に入ったら、なんとなく知った顔に出合う。
 県庁からもほど遠からず、松江に官庁街があるとしたら、この周辺なので、背広組ばっかりだ。

 『かまや』は店の外観のいわゆる“あばら屋”に見えることといい、店内といい。
 本当に町の食堂そのもの。
 合板の壁の品書き、これまたもっぱら実用的なテーブルに、並んだ調味料。
 品書きに「焼きめし」があるのを見つけて、ここに入店してよかったと思う。
 だれも感心のないことだろうが、品書きに「チキンライス」、「焼きめし」があることが1960年らしさの最たるものなのだ。
 「チキンライス」、「焼きめし」は1960年代には食堂の品書きでは花形だった。
 まことにモダンだったはずなのだ。
 店内にいると、この一角だけの時間が1960年代から止まっているのがわかる。
 時間よ止まれ、といったのが、店内のオバチャンなのか、奥の厨房にいるであろうオヤジさんかわからないながら、強力な磁場がこの狭苦しい一角にとどまって、沈滞し、よどんでいるようだ。

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 当然「焼きめし」をお願いするべきだが、ここに「半チャンラーメン(700円)」というのがある。
 神保町(東京都)暮らしも30年以上だ。
 「半チャンラーメン」の起源は神田神保町にあり、と思っているのだけど、松江市内にふんだんにこれが見られるのだ、何故だろう。
 新しい一品として、登場しているものなのか、もしくは「半チャンラーメン」の起源は、本当は松江なのかも知れない。
 ウナギの蒲焼きの起源を探る上で宍道湖周辺は重要な地である。
 大阪に出雲屋ありだし、このあたりのことは、邪馬台国を探すがごときロマンを感じている。
 ここにまた「半チャンラーメン」の謎が加わると、松江の奥深さの証明ともなるだろう。

 まあどうでもいいことばかり書いてきたが、勘を働かせて、「半チャンラーメン」にしたら、やっぱり「半焼きめしラーメン」がやってきた。
 インスタントコンソメの風味がある焼きめしの、古くさくて、懐かしいような味に落胆して、上にのった錦糸卵が古都松江らしいな、なんてちょっと感心もする。
 松江らしい濁ったスープのラーメンはやっぱりうまくはない。
 どこにも“うまい”を見つけられなくてがっかりしただろう、そう思われるかもしれない。
 が、もしもボクが松江で暮らしていたら、3日に1度は『かまや』に来るだろう。
 とても『かまや』が気に入ったのだ。
 ボクはぜんぜん美食家ではなく、いうなれば純粋なる味の探求者だ。
 しかも「美食家=味オンチ」と確信してもいる。
 だいたい、平凡な飯に敢えて惹かれるくらいでなくて、純粋なる味の探求者とはなれっこない。
 この平凡で目立ったところのない、『かまや』のお昼はたぶん中毒性のあるものに違いない。
 それが証拠に、松江ののび太君とボクが呼んでいる、意外に食に感心の強そうな男がこの店に通っている。
 こののび太君の舌が確かであると感じた一瞬でもあるのだ。

 ちょっともの足りない昼飯を食い、「次はチャンポンが食いたいな」、食べ終わってから3秒でこんなことを思う。
 ボクは永延に痩せられそうにない。

かまや 島根県松江市東茶町
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2009年06月10日

7月4日に築地土曜会を行います

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 年4回行っている築地土曜会を7月4日に実施します。
 今回は築地場内のお店とも連係をとり、またいかに優れた魚が場内に溢れているかなどを解説します。
 恒例通り、場内巡り、その後、中央区の社教センター厨房で魚の処理の指導、また懇談会を行います。
 場内で見つけた、これといった魚を社教育センターで食べてみるというのも行いますので、ふるって申し込みください。

詳しくは
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細かな情報や意見交換は
掲示板
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2009年06月04日

築地土曜会は7月4日

築地土曜会を7月4日に行います。
一般応募は6月10日から。
興味のある方、質問などは。
掲示板に参加してください。
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詳しいことは
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2009年05月24日

徳島県池田駅のポロポロ折れるそば

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 香川県琴平から乗ったディーゼルカーは真っ青な青空の下、吉野川を渡る。
 池田にダムが出来てから、吉野川の水はよどんで、あまりきれいとは言えない。
 でも、とにかく吉野川を渡ると、もうすぐ池田の町だ。

 昔、徳島県吉野川沿い、西部から上京するには、徳島本線で池田駅まで出て、土讃線に乗り換え、高松に向かう。
 高松から、宇高連絡船、宇野から宇野線で岡山、岡山から新幹線に乗るというのが一般的だった。
 考えてみると朝方8時か9時過ぎに出て、東京には夕方に到着するという、一日がかりの上京だったわけだ。
 これは、もうかれこれ30年も前の話で、最近では主に空路、バスに取って代わられているので、こんな迂遠な経路は誰もしらないだろう。

 池田駅での乗り替え時間は短く、普通ただただ大急ぎで乗り替えるだけ。
 それがなんらかの原因で、土讃線特急が遅れ、間を持てあまして、気がつくと「立ち食いそば」の店があり、同じく間を持てあました乗り替え客の行列ができていた。
 何気なく並んで、何気なくそばを食べた。食べてびっくりしたのだ。
 なぜ、そばを食べることになったのかが思い出せない。行列をして食べている人たちが、みなそばを注文していたためではないかと思う。
 同じく県西部の貞光町では、そばを食べることは希も希なこと。
 だいたい、そば屋はなく、食堂のことを“うどん屋”というくらい。

 ここで池田は、うどん食文化圏ではなく、そば食文化圏なのだということに気がつくほど、食に感心がなかったのは残念至極。
 池田は祖谷地方の入り口にあたる。祖谷は四国第二の山、剣山へと西から回り込んで続く。
 吉野川をさかのぼり池田から祖谷口に入ると急速に山岳地帯となり、支流の祖谷川沿いともなると断崖絶壁の続く秘境となる。
 山にしがみつくように耕された畑では、米も麦もとれず、里芋とそばが主流となる。
 当然、池田から祖谷にかけては四国では希な、そば食文化圏となるわけだ。

 さて、30年以上前に食べた、そばを思い起こそう。
 まずは汁は煮干し味、徳島県で一般的なもので、うどんと共通するもの。
 そこにやや太めのそばがあり、青ネギに赤い蒲鉾(赤板という。徳島県では蒲鉾のことを「板つけ」という)。
 汁をすすり、そばを箸でつまもうとした。それほど乱暴につまんだわけでもないのに、そばがもろくも折れた。
 なんどつまんでも折れる、折れる。こわごわとやっと口に放り込むと、そばの強い香りがした。
 これこそは生家でよく食べていた、そばがきの味そのものだった。
 いつの間にか、丼のなかは、まるで汁の多い、そばがきのようになっている。
 この汁の多い、そばがきの味がするもの、そば好きならいざ知らず、うどん好きには、とても耐えられなかったのだ。

 東京で暮らす内に、いつの間にか、そばの味になじみ、ときどき池田駅でそばをすするようになったが、時代は鉄路から空路に代わって、長い年月が流れてしまった。
 今回の池田駅乗り換えは、間違いなく20年以上の空白を経ている。
 土讃線特急を降りる乗客は少なかった。昔は徳島本線と連絡する特急の乗客は多く、池田で下りる人もホームが混雑するほどに多かったものだ。
 閑散としたホームで立ち食いそばを探すが見あたらない。どうやら今はなくなってしまったようだ。
 仕方なく駅を出ると、駅に隣接して食堂と喫茶店が合わさったようなものがある。
 何気なく入ると、そこに「祖谷そば」というのがあり、もしかしてという思いで注文してみる。
 出てきたものはまごうことなき、池田駅のそば、そして追加したのが「きつねずし(いなりずし)」。
 徳島ではうどん、もしくはそばには「ばらずし」か「きつねずし」がつきもの。「きつねずし」は西日本の基本である頭巾型だ。

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 久しぶりに食べる池田のそばは、そば粉100パーセントだから、やっぱり折れる。
 ポロポロ食べづらいが、香りが高く、なかなかうまいではないか。
 20年ぶりに食べて、そばには違和感がなくなっている。むしろいりこだしと、そばの相性が悪いのが気になる。
 ただただ懐かしさから、池田のそばを堪能する。
 次に食べる機会ってあるんだろうか? その確立は非常に低い。

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2009年05月03日

今年最初で最後の冷やし中華は『さくら』で食う

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 いつの間にやら市場の軒先をツバメが飛び交っている。
 今年は滑り出しから息苦しい状況にあり、世間の方もろくなニュースがない。
 とくに不愉快だったのが千葉県知事に森田健作がなったこと。
 千葉県人は知的で良識人が多いと思っていたのだが、こんなろくでもない人物を選んでいいのだろうか、大丈夫か千葉県民といいたい。
 世の中には非常に危険で悪質な人間がいる。その典型は抽象的なことばかり言う人だ。
「よりよい未来を築きましょう」とか「夢と希望」とか「明るい未来」とか。
 その無機質意味不明なことだけしか語らぬヤツが大嫌いだし、その代表が森田健作であるように思う。言うなれば典型的な「えげつない野郎」ではないか!
 しかも今回は完全無所属なんて詐欺行為までやってのける。
 爽やかにやってるんだから「詐欺をしてもいいだろう」、そう言っているように思える。
 だいたい役者としても低級だった人物で、しかたなく目立ちたがり屋で政治家になったのだろうけど、自民党公明党の品性を疑うに足りるな。

 あんまり泥沼気分だったので、さっぱりしたものが食いたい。
 と、思ったら『さくら』に冷やし中華の文字がある。
 この『さくら』の冷やし中華の見事さには毎年驚かされる。
 しかもタレが甘くない、ほどよい酸味と後味の良さ。
 ボクは勝手に西東京一うまい冷やし中華だと思っている。
 店主のまささんは「もうからないし、手間がかかるのでいやなんだけどね」なんて言いながら、実は喜んで作っている。

 この豪華絢爛な冷やし中華を食べると、今年の夏もがんばるぞという気持ちになる。
 店を出てボクの頭上をかすめたツバメが青い空に向かって上昇中だ。

八王子市場案内
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2009年03月29日

滋賀県近江八幡名物の赤いコンニャク

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 滋賀県近江八幡周辺で作られる「赤いコンニャク」を初めて見たのは京都だった。
 確か市内のデパート食品売場。
 今考えてみると、市内のあっちこっちに赤いコンニャクが売られていて、これが京都のものではないというのもいつの間にか知っていたのだ。

 珍しさから、買い込んだものの普通のコンニャクとかわることのない味わい。
 拍子抜けするほどに普通のコンニャクだったのだ。
 でも「赤」というのは強い色で、逆に普通のコンニャクの濃いネズミ色というのがむやみに目立たない。
 料理のなかで沈み込んでしまう、見た目、姿を隠してしまっているコンニャクが、赤くなると主役になりえる、というのを今回証明してみたい。

 さて、近江八幡の赤いコンニャクを買ったのが大阪の木津市場。
 もどした国産ゼンマイを買ったら、その反対側の豆腐などを売る店にこれがあったのだ。
 ゼンマイとコンニャクとなったら、後用意する物は少ない。
 青味(緑)のドジョウインゲン、油揚げ。
 コンニャクはゆでこぼし、適宜に切っておく。
 鍋に胡麻油、そこに材料をどんと放り込んで炒め煮にする。
 味醂、少量の砂糖、少量の酢、醤油。
 炒め煮ほど簡単な料理はない。

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 さて出来上がった我が家の定番的な惣菜。
 なかでも一際目を引くのが赤いコンニャクだ。
 ここでは間違いなくコンニャクが主役。
 炒め煮を作ったときは一合ほどご飯を余計に炊かねばならぬ、ならぬのだ。

こんにゃくどっとこむ
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2009年03月27日

築地土曜会を行います

ぼうずコンニャクです。
年4回行っている築地案内・築地買い物案内を開催します。
築地で魚を見る。
築地を見学する。
買い物をする。
そのあと中央区の厨房施設に移動して魚のお勉強会、昼食、懇談会、買った魚の処理をします。
参加には施設利用費用など1000円前後必要になります。
魚の種類や旬、また築地に興味のある方はどしどし参加してください。
築地土曜会は朝7時半より、お魚懇談会は朝10時過ぎから午後までやっています。
開催日は4月4日です。
参加に当たっての注意事項、参加表明などは掲示板にて。

築地土曜会の連絡などは掲示板へ
http://csi.or.tv/tsukiji/kb/rb.cgi
参加申し込みフォーム
http://csi.or.tv/mail/doyoukai.html
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2009年03月20日

山陰本線益田駅「さざえ弁当」は名品だった

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 山陰本線はれっきとした幹線鉄道である。
 京都駅から山口県下関まで、というのだから凄まじく長く、国内でも屈指の鉄路だろう。
 島根県に通うようになって、何度もこの長大な山陰本線に乗っている。
 乗ってみなけりゃわからない島根県の実情というのがある。
 例えば山陰本線は幹線鉄道なのに単線なのだ。
 例えば長大な鉄路を有しているのに1時間に1本しか便がない。
 そして例えば、朝夕でも2両編成、深夜(そんなに遅い時間ではない)ともなると1両編成が当たり前。
 夜遅く乗ったら、途中から乗客がボク一人なんてことだってあった。
 そのときの寂しさと言ったら、カンパネルラと別れたジョバンニのようではないか。
 たくさん乗っていた乗客を消去してしまったのは誰だろう。
 それは都心にみっともない巨大ビルを建てている脳天気野郎や、小沢一郎を代表とする汚染された政治家、汚染された行政者、汚染された企業、人間味の欠片もない金(かね)本位バカだろう。
 早く人間性を取り戻して欲しいものだな、この国の人たちよ。
 と、自分も含めて戒める。

 閑話休題。
 駅弁に話を戻したい。 
 島根県浜田市から『島根県』津和野町に行くには、山陰本線で島根県益田駅まで行き、そこで山口線に乗り換えることになる。
 車で行くと、1時間半くらいだろう、これが鉄路だと2時間以上かかる。
 なぜなのだろう?
 それは山陰本線が一時間に1本なら、山口線の本数はもっと少ないからだ。

 益田駅で半時間ほどの待ち合わせ
 駅前通の酒屋で日本酒を買い、それでも駅で退屈な時間を過ごす。
 あまりに暇なので、駅売店をのぞき見つけたのが「さざえ弁当」だ。
 長楕円形に帯状のラベル、そこに「益田名物」、「寄ってみんさい 来てみんさい 歌の聖の人麻呂と 画聖雪舟に 日本海の旬の味」とある。
 弁当を食べ終わってしまっても「さざえ弁当」と「益田名物」以外、この細かなコピーまでは読んでいない。
 このコピーは帰宅して画像から読みとったもの。
 面白いコピーだが、長すぎて行楽気分にはないボクには意味をなさない。
 ボクなら「人麻呂・雪舟縁の地 益田名物」だけにする。
 ゆったり旅気分の人用に長いコピーを小さく印刷すればいい。
 ちなみに「さざえ弁当」の大きさはよろしいな。

 包装も簡便でキッチュなものなのに値段は900円もする。
 材料がサザエなんだから当たり前だけど、駅売店の隅に置いてあったので高いと感じた。
 これが思わぬ拾いものだった。
 食べたら900円が安いとさえ思った。

 午前11時過ぎ、停車中のディーゼルカーに乗り込む。
 益田の地酒「宗味」ワンカップ片手に、ディーゼルカーの大きな揺れを気にしながら、2駅超えてから蓋をとる。

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 長楕円形の三分の二がさざえ飯でうまっている。
 上に煮たサザエがあるので、ご飯を煮汁で炊いているのだろう。
 おかずは竹輪、野菜天(薩摩揚げ)、玉子焼きに椎茸。
 もうひとつ、今度は丸のままのサザエが一個。
 漬物は大根二種でタクワンと桜漬け(桜色の漬物)。
 サザエを何個使っているのか判然としないが、明らかに原価率が高そうに思える。
 安いときだったらサザエは二個で200円ほど、高いときなら300円はするだろう。
 練り製品の質もよく、なかなかこれは良くできた弁当と言わざるを得ない。

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 さて左手にワンカップを持って、何がうれしいかというと、さざえ飯が、酒の肴として食べられることだろう。
 ボクは駅弁にはお茶ではなく、ワンカップというのが大好きなのだ。
 ご飯に適度な旨味と醤油の香り、ときどきサザエにあたるとほんのり甘みを感じる。
 煮サザエはうまいのだけど個人的には無用だ。
 でも普通の人なら、感激するだろう。
 ボクはずぼらなので、ワンカップをわざわざ車窓に置き、左手にサザエの貝殻を持ち、爪楊枝を右手に持つのが煩わしい。
 さて、ボクが幕の内弁当を愛好するのは酒を飲みながら食べられるからだ。
 その意味では「さざえ飯」も飯自体が酒の魚となるので、とてもありがたい。

 山口線は山の中を縫うが如く走る。
 日は傾き、車窓からの眺めがいやに深として寂しい。
 「さざえ飯」でワンカップを一本。
 食べ終わって二本目を飲む。
 
2008年7月25日
デリカ丸久 島根県益田市あけぼの西15-5
宗味
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2009年03月04日

これはいいんじゃない。岡山市『三好野本店』の、味折小町

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 昨年からなんど伯備線に乗っただろう。
 1度、2度、これが3度目かな。
 昼間走る伯備線の車窓から見える景色にはだれだって、感激するだろう。
 その山里の、そして山の斜面の、川の流れのなんと美しきことよ。
 対照的に、夜はなんとも寂しく、誰もいなくなった銀河鉄道を思わせる。
 特急やくもの不思議な、左右前後の揺れ、ククウウク、ククウウク、クウククという不気味な音。
 この揺れもインドコテリウムの鳴き声ののごとき雑音も夜の方が大きい。

 今回は午後一番の特急やくも、なんだか旅情を感じて、思わずホームで駅弁を買う。
 残念だったのが、伯備線ホームには大関しかワンカップのないことだ。
 JR西日本さんよ、できたら地酒のワンカップおいてくれないかね。
 大関じゃ、せっかく湧いてきた旅情が急激にしぼんでしまう。
 結局スーパードライを一缶。

 伯備線は倉敷、備中高梁をすぎて、急激に山間のなかに入っていく。
 左に川が見えるのだけど、なんともきれいだ。
 備中高梁といえば、赤穂浪士の大石内蔵助が城の開城を担当したところだったはず。
 いや違うな、豊臣秀吉(このときは羽柴秀吉)が水攻めをやったところだった。
 この戦を切り抜けて、秀吉は天王山へ大返しをやったんだ。

 備中高梁をすぎて「味折小町」をあける。
 そう言えば、これは伯備線ホームでたった一個だけ残っていた幕の内なのだ。
 駅弁売りのオバサンに「幕の内ありますか」というと「祭寿司だけなんです。でも、ちょっと待ってくださいね」、といってもう一人いた駅弁売りのオジサンのところに走り、これこそ伯備線ホームに最後に残った幕の内弁当が買えたのだ。
 紙の蓋をとったとたんに典型的な幕の内が出てきた。
 多種多彩なおかず(肴)に木型で型押ししたご飯。
 白いご飯に黒ごまという幕の内の基本形がここにある。
 赤魚粕漬け、高野豆腐煮、鶏肉南蛮漬け、卵焼き、肉団子に牛肉しぐれ煮、海老天ぷら、菜の花チキンくらげ和え、なす天ぷら、小松菜お浸し、きんぴらごぼう、椎茸煮、人参煮、ほたてチリソース和え、鶏肉そぼろあん、大根漬け、そら豆塩ゆで、ポテトフライ、大根生酢、梅干し、枝豆塩ゆで、と並んで900円は安いのではないか。

 さてどうして幕の内はこれほどおかずが多彩なのか、というと、おかずが酒の肴でもあるからだ。
 だからおかずの3分の2ほどで酒を飲み、残りでご飯を食べる
 それなのに缶ビールとは情けない。
 この幕の内なかなか味がいい。
 おかずもご飯も合格点。

 こんなときに限って酒がないのだ。
 吉田健一なら思わず、電車から飛び出しただろう。
 山口瞳なら、ボクどうようにひとり情けない思いにかられたに違いない。
 幕の内は酒を飲むためにあるのであって、ビールを飲むためのものではないのだ。

 さてさて岡山から伯備線に乗り込むなら、改札を通る前に近くのデパートなどでうまい日本酒を買い、伯備線ホームで、決して祭寿司ではなく、幕の内を買うのが最上の選択である。

 ぼんやり外を眺めながら、なんとなく物思いに耽っていたら、右手に大山が見えてきた。
 そして山間部から平野部になり、なんだか急に景色が明るくなったのである。
 米子は近い。
 米子まで来たら、松江まではもう一息なのだ。

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